◆具体的な内容は?
低迷する景気の底上げのための「緊急経済対策」の内容が1月の閣議決定で明らかになり、企業向けの措置として、企業規模にかかわらず新規に雇用を増やした場合にかかる費用の一定割合について、法人税額から差し引く仕組みが創設されるとのことです(2〜3年間の時限措置とされる見込み)。
この「費用」には、新規の雇入れだけでなく、既存の従業員に対する賃上げ等に要する費用も含まれることとなっています。
また、研究開発費用や設備投資費用の一定割合についても、減税対象とされています。
◆気になる今後の動向
制度の詳細は、1月下旬にもまとめられる予定の「税制改正大綱」において決定され、通常国会に提出された後、審議されることとなります。
なお、厚生労働省は、平成25年度税制改正における要望として、雇用促進税制の拡充を挙げていましたが、年間の新規採用者を5人以上(中小企業は2人以上)増やし、かつ雇用者数を10%以上増加させた企業に対し、増やした人数1人当たり20万円の税額控除を認める仕組みについて、1人当たり40万円に拡大する方向で検討されています。
◆その他の支援措置
同じく2013年度以降の措置として、「中小企業金融円滑化法」(いわゆる「モラトリアム法」)が、2013年3月31日に期限切れとなり、貸し剥がし等の加速が懸念されていることを受け、金融庁は、全国の財務局に融資に関する苦情相談の専用窓口を設け、また、中小企業が求める融資条件の変更に金融機関がどれだけ応じたかを開示するよう求めることとしました。
さらに、金融機関の健全性を検査する指針「金融検査マニュアル」に融資条件変更にできるだけ応じることを明記し、金融機関が正当な理由なく条件変更を拒否しないよう指導することとしています。
また、厚生労働省では、2012年度補正予算案に「若者・子育て支援」として2,200億円を盛り込み、失業中の若年者等を雇い入れ、職業訓練を実施した企業に月15万円(最長2年間)を支給することを検討しています。
新規採用等を検討している企業においては、こうした動きに注目し、採用と費用の発生のタイミングを検討する必要があるでしょう。