◆1年に及ぶ議論を経て報告書提出
2012年に成立した「社会保障制度改革推進法」により内閣に設置されていた社会保障制度改革国民会議は、8月5日に報告書を公表、翌6日、安倍首相に提出しました。
報告書では、各種給付を「全世代型」の給付に見直すことが示されました。これまで高齢者に対し特に手厚い制度となっていたものを、若い世代向けの出産や育児に関する保障を厚くし、高齢者でも高所得者については相応の負担を求め、現役世代に限らず幅広い世代で負担を分かち合う方向に転換するというものです。
また、超高齢化社会に対応するため、来年4月から予定通り消費税率を引き上げ、引上げ分を財源として医療や介護の充実を図ることを提言しています。
以下、その主な内容を紹介します。
◆医療保険・介護保険関連
負担に関する見直しとして、
(1)70〜74歳の医療費について、新たに70歳となる人から2割負担とすること
(2)高所得者の介護保険の利用者負担の引上げ
(3)健康保険料の上限引上げ
(4)75歳以上の後期高齢者向け医療費の支援金に「総報酬割」を全面導入すること
等が挙げられます。
◆年金関連
話題になっていた抜本改革は見送られ、給付開始年齢の引下げについても中長期的な議論として引き続き検討を求めるにとどまりましたが、
(1)非正規労働者への適用拡大
(2)高所得者に対する年金減額
(3)デフレ下においても給付増を抑制する機能が働くようにすること
等が盛り込まれました。
◆少子化対策関連
他の項目に比べると具体策に乏しい印象ですが、
(1)雇用保険の育児休業給付の引上げ(厚生労働省は5割→6割を検討)
(2)消費税引上げ分を財源とした待機児童解消策の実施
等が盛り込まれました。