◆申立件数が過去最高に
最高裁判所が2009年における労働審判の申立件数を公表し、3,468件で過去最高となったことがわかりました。労働審判制度は2006年4月にスタートしましたが、4年で約4倍の伸びとなっています。
内容別の内訳では、「解雇等の地位確認」に関する申立てが1,701件、「賃金・手当」に関する申立てが1,059件、「退職金」に関する申立てが205件などとなっています。
◆背景に労使トラブルの増加
申立ての多くは労働者や退職者からのものですが、その背景には、不況下における雇用調整の実施、賃金の引下げなどに伴う労使トラブルの増加が挙げられます。
上場企業のうち、2008年秋以降に何らかの「雇用調整」を実施した企業は何と76.7%にのぼるという調査結果も出ています(労働政策研究・研修機構の発表)。雇用調整の具体的内容については、「新規採用の抑制」(53.2%)、「契約社員・パート労働者らの契約不更新」(52.0%)、「不採算部門の縮小、事務所の閉鎖」(45.6%)となっています。
◆労働審判制度の特徴
労働審判制度は、使用者と個々の労働者間の権利義務に関する紛争(個別労働関係紛争)について調停または審判を行う手続きで、裁判官1名と審判員2名からなる労働審判委員会が、3回以内の期日で審理を行います。
労使双方が合意すれば「裁判上の和解」と同様の効力が生じ、異議申立てがなされれば民事訴訟の手続きへと移行します。
そして、「民事訴訟」や「あっせん」と比較した場合、労働審判には労働者にとって時間的・費用的なメリットが多いと言えます。
◆日頃の労務管理が大事
労使トラブルの増加傾向が続けば、今後も労働審判の申立件数は増えていくものと思われます。企業側としては、トラブルが発生しないように、また、トラブルが労働審判に持ち込まれないように、常日頃からしっかりとした労務管理を行っておくことが必要なのは言うまでもないことです。