◆経費削減が進む介護事業所
民間のシンクタンク機関である「医療経営情報研究所」が行った「介護施設における諸経費の削減取り組みに関する実態調査」の結果から、多くの介護施設(病院も含む)で、無駄を減らし、固定費を削減するための努力をしていることがわかりました。
介護・医療業界は成長産業と謳われ、新規参入を考えている事業所も増えていますが、一方で、職員の採用については厳しさが増している現状もあるようです。
◆多くの施設で経費削減の取組み
人手が足りない中で利用者に対するサービスの質を維持していくため、「経費削減」を経営の重点項目にしている介護施設が増えているようです。ただし、その前提条件には「サービスの質を低下させないこと」があり、両立に頭を悩ませています。
上記の調査によると、約9割の施設で経費削減の取組みが行われており、そのうちの5割は5年前から実施していました。
◆人事管理における削減
この調査では、どのようなものを経費削減の対象にしたかを、「人事管理に関するもの」、「日常業務(事務)に関するもの」、「人件費以外の固定費に関するもの」の3つについて尋ねています。
人事管理に関するものとして、「アルバイト、パート、契約社員を採用した」、「賞与に評価制基準を導入し、総額削減を図った」の2つが約3割を占めました。次いで、「ノー残業デー、定時退社日を設定した」、「賃金処遇を見直し改定した」が約2割で続いています。
◆人件費以外に関する削減
次に、日常業務(事務)に関するものについては、「コピー用紙の裏面活用や印刷形式の統一化を図った」(69.8%)、「介護用材に相見積りを行い安価な取引先に変えた」(66.5%)がありました。
また、人件費以外の固定費に関するものでは、「蛍光灯や電球の使用本数を制限した」(50.6%)、「職員のエレベーターの利用を禁止した」(33.9%)があり、利用者のエアコンの温度を制限したり、テレビ等の利用を有料化したりするなど、利用者居室も削減対象にしているところもあったようです。