◆企業が行う「再就職支援」
近年注目を浴びるようになり、様々なメディアでも取り上げられている「アウトプレースメント(再就職支援)」。
年々業界の拡大が進み、最近の市場規模は500億円程度とも見られています。
◆定義とその効果は?
アウトプレースメント・サービスは、もともと米国で広く使われている制度で、企業側の都合で離職せざるを得ない従業員のために、企業側が費用を負担して第三者である民間の会社に委託して、再就職支援のためのコンサルティングやカウンセリング、研修等といった、ケアやサポートを提供するものです。
サービスを利用することにより、従業員の再就職先の確保だけでなく、企業が「できる限りのことをしている」という姿勢を効果的に伝えることができるため、退職者の不満を取り除き、紛争の芽を摘むことができるという効果があります。
◆日本ではネガティブな印象も?
一時期、「追出し部屋」が問題となりましたが、日本では、アウトプレースメント・サービスも、「正社員のリストラを支援するもの」としてネガティブにとらえられがちなもののようです。
また、その利用費用は決して安いものではなく(対象者1人当たり1年のサービスで100万円前後が相場とされている)、利用が大企業に限られてしまうこと、再就職を保証するものではなく、雇用状況が安定しているときは受入れ企業の数が少なくなるためマッチングが難航することもあることなどといった問題点もあり、アウトプレースメント会社の利用率は、求職者全体から見れば、まだ高いものではありません。
◆利用前の検討が肝要
とはいえ、アウトプレースメント・サービスを実施することにより得られる効果は大きいものであり、利用を考える価値はあります。
企業規模、削減人数、削減予定者の年齢構成、紛争となった場合のリスク等を勘案して、利用を検討してみてはいかがでしょうか。