◆負担増のメニューが並ぶ
厚生労働省の医療保険制度改革の骨子案が明らかになりました。
紹介状なしで大病院を受診した場合の負担金を2016年度から新たに導入することや、75歳以上の保険料を軽減する特例を廃止するといった被保険者負担の増加のほか、大企業の会社員等が加入する健康保険組合の保険料率の上限を上げることも盛り込まれ、企業にも被保険者にも負担が増えることが明らかとなりました。
社会保障審議会の部会で内容を詰めたうえで、1月下旬に始まる通常国会で関連法の改正案が提出される見通しで、生活者には厳しい改正となりそうです。
◆大病院では専門医療中心に
大病院を紹介状なしで受診する際の新たな負担金としては、患者の集中を防いで医師が重症患者の治療に専念しやすくするため高度な医療を提供する「特定機能病院」や、ベッド数が500床以上の病院について患者に新たな負担を求めることとしました。
例えば初診の場合には、現在は初診料2,820円のうち、患者負担は所得や年齢によってその1〜3割がかかっていますが、改革案では、これとは別に定額負担を求め、負担額は5,000円〜1万円との目安が示されています。
また、入院中の食事代にかかる自己負担額も、現在の1食あたり原則260円から引き上げられる見通しです。
◆75歳以上低所得者の医療保険料の軽減措置も撤廃
75歳以上の後期高齢者の医療保険料については、所得の低い人を対象にして実施してきた負担軽減特例を、2017年度から原則的に廃止する方向で、現在対象となっている約865万人が負担増となります。ただ、急激に負担が増える人には激変緩和措置を講ずるとされています。
◆保険料率上限の引上げ
康保険組合の保険料率の上限は、2016年度に12%から13%に引き上げられます。健康保険組合の加入者は約2,900万人(約1,400組合)で、国民健康保険より財政基盤は安定していると言われますが、高齢者医療制度への支援金・納付金の負担が重く、約8割の健保組合が赤字となっています。
保険料率は3〜12%の間で健保組合ごとの判断で決めることができますが、すでに上限の12%に達している組合も多く、これを新たに13%まで引き上げられるようにします。