◆全国一斉の電話相談など
厚生労働省では、長時間労働に伴う問題解消を図るために、11月を「労働時間適正化キャンペーン」と定め、全国一斉の電話相談の実施をはじめ、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知啓発などの取組みを集中的に実施しています。
◆労働時間をめぐる現状
平成21年の総務省調査によると、週60時間以上働いている人の割合は全体の9.2%で、30代の男性に限ってみると全体の倍の水準となる18.0%にも上ります。
1カ月の残業時間が80時間を超える状態が続くと、心身の健康を害するばかりか、過労死の危険性が高まると言われています。
過労死などで労災認定された件数は平成21年度に293件となっており、過重労働による健康障害の事例が数多く報告されています。また、労働基準監督署による賃金不払残業の是正指導も多く見られます。
◆キャンペーンの重点事項
このような状況を受け、厚生労働省では、平成22年度も「労働時間適正化キャンペーン」を実施し、長時間労働の抑制を行うなど、労働時間の適正化に向けて労使の主体的な取組みを促すとともに、重点監督などを行っています。
今年度の重点取組み事項は、次の3点となっています。
(1)時間外労働協定の適正化などによる時間外・休日労働の削減
(2)長時間労働者への医師による面接指導など労働者の健康管理に関する措置の徹底
(3)労働時間の適正な把握の徹底
◆賃金不払残業が大きな問題に
長時間労働と同様に、現在、賃金不払残業(サービス残業)が大きな問題になっています。このキャンペーンを機に、恒常的に長時間労働が行われていないか、長時間労働者の健康管理について配慮がなされているか、労働時間が適正に把握されているかなど、労働環境を今一度見直してみましょう。