◆相次ぐ見直しの表明
9月下旬、大手商社7社は、企業における大卒者の採用活動時期を遅らせるよう、日本経団連に呼びかける考えを表明しました。「就職活動の長期化が学業の妨げになっている」との意見が強いためであり、商社自身の採用試験の時期も見直していくとしています。
また、10月初旬には、社団法人日本貿易会(貿易商社の業界団体)が、新卒者の採用活動に関して、2013年度入社対象の新卒者から、採用スケジュールを遅らせるべく具体的な検討を始め、また、各産業界が協調して見直しが実現できるよう日本経団連などの関係団体に働きかけると発表しました。
◆採用側企業の発表を受けて
これら採用側企業の動きを受けて、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣は、連名で245の主要経済団体、業界団体に向けた、早期の採用選考活動の抑制などを要請する文書を送りました。この要請文の中では各団体の努力を求めています。
また、リクルートや毎日コミュニケーションなど就職情報会社10社で構成する「日本就職情報出版懇話会」でも、就職活動の早期化への批判に対応し、新卒者の採用情報を提供するサイトの開設時期について、例年から1カ月以上遅らせて、来年は11月1日以降にすると発表しました。
◆これまでの就活の流れに変化
これまでの流れとしては、まず、大学3年生の8月ごろに「インターンシップ」を行う企業が出てきます。そして、10〜11月にかけて「就職情報サイト」が開設され、「業界別セミナー」や「就活フェア」なども開かれます。
そして年が明けた1月ごろから「会社説明会」の開催が徐々に増えてきて、2月ごろには「エントリーシート」の提出なども始まります。
4年生になると「採用面接・選考」が始まり、5月ごろには「内々定」が出始め、6月には中小企業の採用活動も本格化してきます。
来年以降は、採用側企業や国側の対応を受けて、これらのスケジュールが遅くなっていくものと思われますが、企業としては、じっくりと良い人材を見極め、自社にとって必要な人材を確保することが必要なことには変わりはないでしょう。