作成日:2016/04/25
「労働移動支援助成金」悪用による影響で支給要件厳格化へ
◆助成金を利用してリストラ?
厚生労働省は、人材会社が「労働移動支援助成金」を利用して退職勧奨を行っているという指摘を受け、4月から支給要件を厳格化する方針を固めたようです。
これは、人材会社が人員削減等を計画する企業にリストラのノウハウを提供し、対象となった従業員の再就職支援の委託費用の一部を人材会社が利益として得ているとして、国会で問題視されていたものです。
また、人材会社が関与したケースでは、企業が評価の低い「非戦力(ローパフォーマンス)社員」をリストアップし、退職を迫っていた例もあったようです。
◆助成金の概要
労働移動支援助成金は、事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者等に対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇を付与したりする事業主に支給する制度です。
平成26年3月より、送り出し企業に支給される再就職支援奨励金の支給対象が拡充され、中小企業だけでなく大企業にも支給されることになりました。また、受入れ人材育成支援奨励金が創設されています。
◆支給要件厳格化の具体的な内容
今後、厚生労働省は企業が助成金を申請する際に、退職者本人の署名や住所の記入を求めることに加え、人材会社が企業にリストラを提案したりしなかったかどうかを確認し、問題があった企業には助成金の返還を求めることを検討しています(具体的な要件は3月末に決定する予定)。
今後、労働移動支援助成金を利用する際には、従業員の意思を尊重し、退職勧奨とならないように十分注意する必要があります。