◆企業に求められるLGBT対応
近年、人権保護の観点からはもちろん、リスク対応や優秀な人材の確保といった観点から、企業においてもLGBTへの理解と対応が求められてきています。
ここでいう「LGBT」とは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)といった性的少数者のことであり、2015年に電通総研が行った調査では、人口の7.6%がLGBTであると発表されています。
そのような中、厚生労働省は、いわゆる「セクハラ指針」(事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上構ずべき措置について)の改正を行い、企業にLGBTなどの性的少数者へのセクハラにも対応する義務があることを明文化する方針を固めました。
◆職場におけるセクシュアルハラスメントの対象者の明確化
労働政策審議会(雇用均等分科会)の中で示された「事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部を改正する告示案」では、「従来より、職場におけるセクシュアルハラスメントについては、被害者の性的指向や性自認は問わないものであるが、それが周知徹底されていないとの声が近年多くなっている。これを踏まえて、被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、これらの者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、セクハラ指針の対象となる旨を明確化する改正を行うこととする。」とされました。
現在でも性的少数者は指針の対象となっていますが、明文化はされていませんでした。
セクハラ指針の2(1)に、「被害を受けた者の性的指向や性自認にかかわらず対象となる」と新たに明記することで、さらなる周知徹底を図るねらいがあるようです。
◆施行日について
上記指針は平成29年1月1日より改正される予定ですので、社内のセクシュアルハラスメント防止規程の見直しや社員への周知等、LGBT対応が必要になってきます。