◆「残業」に対して厳しい時代
残業を規制する気運が高まっています。
政府が取り組んでいる「働き方改革」において長時間労働の是正が重要な柱とされており、さらに電通事件の社会問題化、過労死等防止対策推進法の施行、初の「過労死白書」発行などもあり、「残業」には特に厳しい目を向けられるご時勢となりました。
◆現行法における残業時間の上限は?
法律上、認められている労働時間・残業時間をおさらいしておきます。
まず、労働基準法において労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められていますが、労使間でいわゆる「三六協定」を締結し、労働基準監督署に届け出ることで、「月45時間、年360時間」までの時間外労働が認められます。
さらに三六協定に「特別条項」を付けることで、繁忙期や納期直前といった臨時の場合に「上限なし」の時間外労働までもが可能となります。
厚生労働省「平成25年労働時間等総合実態調査」によれば、三六協定を締結している企業は、大企業では94%もあったのに対し中小企業ではわずか43%にとどまっています。
◆特別条項付三六協定だけでは対応不足
今のご時勢、「特別条項付三六協定」を締結しているからといって安心できません。
前述の電通でも「月間70時間まで」とする特別条項付三六協定を締結していましたが、事件を未然に防ぐことができませんでした。また、政府は現在、「残業時間の上限規制強化」や「違反企業への罰則の厳罰化」を検討しています。
企業にとっては、法的対応は当然として、さらに抜本的な残業削減の取組みが必要です。
◆残業削減のカギは「管理職」にあり
読売新聞社が12月に発表した、全国主要企業を対象としたアンケートによれば、「残業時間に上限を設けた場合、業務に支障あり」と回答した企業は47%、「支障なし」と回答した企業は45%でした。
長時間労働を減らすうえでの課題(複数回答)としては、「管理職の意識改革」が最多の92%でした。具体的な残業削減の方法は企業規模や業種、企業風土によって千差万別ですが、カギとなるのは「管理職」ということで各社共通しているようです。
残業削減を実現できれば残業代も減額されますので、会社にとって大きなメリットとなります。会社のためにも従業員のためにも、今こそ残業削減に着手すべきだと言えます。