◆「腰痛予防」は対応必須のテーマ
病気やけがの中で、どの職場でも発生する危険があるのが「腰痛」です。
平成27年の業務上疾病の被災者数に腰痛罹患が占める割合は、7,368人中4,550人で、実に6割超。労働者の安全・健康を考えるうえで「腰痛の予防」は外すことのできないテーマだと言えます。
寒い時には腰痛が出やすくなりますので、これからの季節は特に注意が必要です。
◆職場でとるべき腰痛対策
(1)重い物を持ち上げる機会が減らせませんか?
例えばコピー用紙の束も、まとまると結構な重量になります。こうした備品が小分けしてストックされているだけで、腰痛を発症する機会は減らすことができます。
重い物の置き場所も工夫したいものです。腰の高さに置かれていれば、無理なく持ち上げることができます。場所の問題等で適切な位置に置くことができない場合には、高い位置ではなく低い位置に置き、腰を落として持ち上げるように指導しましょう。
(2)1日中同じ姿勢で仕事をしていませんか?
長時間同じ姿勢をとっていると腰痛を発症しやすくなりますので、休憩時間や始業時間前にストレッチを行うよう推奨しましょう。
座りっぱなしの職場では、いすの高さや形状が体に合っていないと無理が生じて腰痛が起こりやすくなります。また、机の天板に足がぴったりついていると血流が悪くなって腰痛が起こりやすくなりますので、一度、いすの状態についてチェックしてみるのも効果的です。
(3)ストレスが原因で生じた腰痛ではありませんか?
ストレスで痛みが発生する場所というと「胃」のイメージが強いですが、腰痛を訴える方も少なくありません。
ストレス性の腰痛の場合には放っておくと不眠など他の症状が出たり、うつ状態になったりする可能性もありますので、気になる労働者がいる場合には、産業医との面談の機会を設けたり、専門医の受診を勧めたりするなど、早急に対応する必要があります。
◆軽視せずに予防対策を
腰痛はありふれたものとして軽視されがちですが、症状が悪化すると動くこともままならなくなってしまう怖い疾病です。積極的に予防推進に努めましょう。