◆4月から全面施行「同一労働同一賃金」
パートタイム・有期雇用労働法の施行に伴って、企業には正社員と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消等が求められています。2021年4月から中小企業にも全面的に適用されるこの「同一労働同一賃金」。完全施行を前に準備を進めている企業も多いところです。企業の対応状況はどのようになっているのでしょうか。
◆「同一労働同一賃金」ルール 認知度は6割
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が実施した調査(10 月1日現在の状況について調査。有効回答数(有効回答率) 9,027 社(45.1%))によれば、同一労働同一賃金ルールについて「内容を知っている」との回答が6割超となっています(大企業(常用雇用者 301人以上)で93.6%、中小企業(同 300人以下)で63.3%)。「内容はわからないが、同一労働同一賃金という文言は聞いたことがある」は31.4%(大企業5.2%、中小企業32.6%)となっており、適用前の中小企業ではまだ周知が不十分である状況もわかります。
◆対応完了は約15%
同調査によれば、同一労働同一賃金ルールへの対応(雇用管理の見直し)について、「既に必要な見直しを行った(対応完了)」が14.9%(大企業27.5%、中小企業14.1%)、「現在、必要な見直しを行っている(対応中)」が11.5%(大企業23.9%、中小企業10.8%)、「今後の見直しに向けて検討中(対応予定)」が19.5%(大企業 25.7%、中小企業 19.3%)となっています。約半数が「必要な見直しを行った・行っている、または検討中」である一方、「従来通りで見直しの必要なし(対応完了)」が34.1%(大企業16.5%、中小企業35.1%)、「対応方針は、未定・わからない」が19.4%(大企業6.4%、中小企業20.1%)となっており、まだ手をつけていないという企業も多いようです。
◆不合理な待遇差禁止義務への対応が4割
対応策にも様々ありますが、本調査では(複数回答)、「左記(正社員と職務・人材活用とも同じ)以外のパート・有期社員の待遇の見直し(不合理な待遇差禁止義務への対応)」が4割を超え(42.9%)、「正社員とパート・有期社員の、職務分離や人材活用の違いの明確化」(19.4%)、「正社員と職務・人材活用とも同じパート・有期社員の待遇の見直し(差別的取扱い禁止義務への対応)」(18.8%)、「就業規則や労使協定の改定」(18.6%)、「労働条件(正社員との待遇差の内容・理由を含む)の明示や説明」(17.0%)、「パート・有期社員の正社員化や正社員転換制度の導入・拡充」(12.8%)、「正社員を含めた待遇の整理や人事制度の改定」(10.7%)、「正社員の待遇の見直し(引下げ等)」(6.1%)等が続いています。
これからという企業も、自社の状況をみながら具体的な対応を検討していきたいところです。
【独立行政法人 労働政策研究・研修機構「『パートタイム・有期契約労働者の雇用状況等に関する調査』結果」PDF】
https://www.jil.go.jp/press/documents/20201225.pdf