オフィスレポート
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作成日:2021/05/17
無期転換をめぐる裁判の動向と厚生労働省の動き



◆無期転換をめぐる裁判の動向

大手物流企業で有期雇用で働いていた男性(40)が、契約期間が通算5年を過ぎ、無期契約への転換を希望できる日の直前に雇用を打ち切られたのは不当だと訴えた訴訟で、横浜地裁川崎支部が訴えを棄却する判決を言い渡しました。男性は2012年9月から同社に派遣社員として勤務。労働契約法の改正で5年ルールが導入された後の13年7月に、1年間の契約社員として日通に直接雇われ、4回の契約更新を重ねましたが、18年6月末に契約を打ち切られました。判決では、雇用契約書に「更新限度が18年6月30日までの5年」と明記されていると指摘。男性が「契約内容を十分認識した上で契約を締結した」と認定し、改正労契法の「5年ルール」については、「5年を超えて労働者を雇用する意図がない場合に、当初から更新上限を定めることが直ちに違法にはならない」と指摘しました。男性は控訴する方針ということです。

無期転換については、無期転換申込権が発生する5年の直前での雇止めに関するトラブルが増加。裁判も相次いでいて、2月の山口地裁判決(山口県立病院機構)、3月の福岡地裁判決(博報堂)などでは、不更新条項の効果を否定して「雇止め法理」を踏まえて雇い止めを無効とする判決が出ています。

◆厚労省が「取組支援ワークブック」公開

こうしたなか、厚生労働省では、「無期転換ルールに対応するための取組支援ワークブック」を作成・公開しました。このワークブックは、「企業が無期転換ルールに対応するにあたって問題となるポイントを中心に、ワーク形式の演習を交えながら解説したもの」で、平成30年の「多様な正社員及び無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説(全業種版)」とともに使用して、無期転換ルールに適法に対応した社内制度を整備してほしいというものです。巻末には8ステップからなるワークシートが掲載されており、これを活用することで、無期転換ルールに対応するための手順を実践することができるとしています。

◆「多様化する労働契約のルールに関する検討会」始まる

また、厚労省では3月24日から、無期転換ルールの見直しを主要テーマのひとつとする検討会も始まりました。現行法下での適正な運用を心がけたいのはもちろんですが、今後の制度の見直しへの動きも気になるところです。

 

【厚生労働省「無期転換ルールに対応するための取組支援ワークブック」】

https://muki.mhlw.go.jp/policy/workbook_201125_01.pdf

【厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会 第1回資料」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17519.html

 
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