◆「安心3本柱」の内容
政府から、「安心3本柱」を中心とした社会保障改革案の内容が発表されました。
この「安心3本柱」とは、(1)パートなどの非正規労働者への社会保険の適用拡大、(2)幼稚園や保育園の垣根をなくす「幼保一体化」の推進等による子育て基盤の強化、(3)医療・介護などを中心に自己負担の合計額に上限を設定する「合算上限制度」の導入です。
以下では、主な年金制度改革案について見ていきます。
◆年金制度の改革案
年金制度改革案の具体策は、パートなどの非正規労働者の厚生年金の加入条件を、現在の「週30時間以上勤務」から「週20時間以上勤務」に緩和すること、また、現在は育児休業中だけとしている厚生年金保険料の免除期間について産前・産後の休業期間まで広げるということです。
一方、高所得の会社員については保険料の負担増を求める方向です。厚生年金保険料は報酬に応じて決まる仕組みになっていますが、改革案では上限額を引き上げる考えです。
◆60歳代前半の就労促進
この他、60〜64歳で働きながら厚生年金を受け取る場合、年金と給与の合計額が月額28万円を超えると、28万円を超えた分の半分だけ受け取る年金が減り、46万円超では給与の増加分だけ年金がカットされます。
現在、この仕組みで約120万人が総額1兆円程度を減額されていますが、厚生労働省では、給与と年金の合計額が46万円を超えるまで年金を減額しない制度に変更し、年金の減額幅を縮小することにより高齢者の就労を促す考えです。
◆しかし問題は山積…
いろいろと改革案が出されていますが、非正規労働者への厚生年金加入拡大は保険料の半分を負担する企業の反発が必至な状況であるなど、問題は山積しています。