◆労使トラブルは増加傾向
厳しい経済情勢を背景に、企業と従業員が雇用契約などをめぐってトラブルになるケースが増えています。
短期解決に役立つ仕組みなど、押さえておきたい項目をまとめました。
◆「労働審判制度」とは?
これは2006年から始まった制度で、民間から選ばれた労働審判員2人と裁判官で構成される労働審判委員会が調停(話合い解決)を試み、まとまらなければ労働審判を下します。
審判に異議がなければ確定となり、異議があれば通常の訴訟に移行します。調停や確定した審判は裁判上の和解と同じ効力があり、強制執行も可能です。
通常の裁判は長期化しがちですが、労働審判は「原則3回以内」で審理を終えるため、平均審理期間は74日と短期間です。
◆個人での争いが増加傾向
厚生労働省の出先機関である都道府県労働局や労働基準監督署で無料相談ができる「総合労働相談コーナー」も便利です。
ここでは企業への助言・指導や、紛争調整委員会によるあっせんができますが、労働審判のように、あっせんに応じさせる強制力はありません。法令違反などの疑いがあれば、労働基準監督署が会社に対して指導を行います。
2010年度の相談件数のうち、民事上の個別労働紛争の相談は24万6,907件と過去最高だった前年度と同水準でした。組合の組織率低下などを背景に、働く人が個人で経営者側と向き合う状況が増えているためのようです。
◆トラブルが起きないことが一番
会社が残業代を法律通りに支給していなかった場合などで、労働審判などを通じ、突如数百万円規模の支払いが必要になるケースも見られます。
もちろん、トラブルが起きないことが一番ですが、トラブルが起きてしまった場合の対応を考えておく必要もあります。