◆見直しが迫られる福利厚生
企業が社員に提供する「福利厚生」が縮小する一方、年金や医療といった企業負担が急速に膨らんでいます。
景気低迷により多くの企業では業績拡大も見込みが立たず、「福利厚生」のあり方は、今後も修正を迫られそうです。
◆減少傾向にある社宅
国土交通省の「住宅着工統計」によれば、2010年度における社宅や公務員宿舎などの着工数は6,580戸で、確認できる1955年度以降で過去最低を更新しました。
総務省が実施する「住宅・土地統計調査」によれば、全国の社宅・公務員宿舎は2008年に約140万戸で、10年前と比較すると2割減となっています。
1990年代後半から、企業が福利厚生施設を売却する動きが広がっており、2009年の人事院による調査では、社宅がある企業は全体の57%で、自社で物件を保有する企業は25.8%でした。
◆各種手当、社内預金の状況
社宅だけでなく、各種手当なども減少傾向にあります。
厚生労働省の調査によれば、「家族手当」や「扶養手当」を支給している企業は2009年時点で全体の65.9%となっており、10年前から11.4%低下しています。
また、「社内預金」(一般に、預貯金より高い利子をつけて企業が従業員の貯金を管理する制度)も縮小しており、昨年の社員預金総額は9,334億円で、10年前と比較すると約3分の1となっています。
◆福利厚生サービスの「曲がり角」
働き手の形が多様化する中で、従来のような福利厚生サービスは修正を余儀なくされています。今後、従来型の終身雇用制を前提にした社員サービスの見直しは必至の状況と言えるでしょう。