◆3つの法律の一部改正
8月初めに「年金確保支援法案」が国会で可決・成立しました。
この法案は、(1)国民年金法の一部改正、(2)確定拠出年金法の一部改正、(3)厚生年金保険法の一部改正から成ります。
◆法案の趣旨
この「年金確保支援法案」の趣旨は、次の通りとされています。
「将来の無年金・低年金の発生を防止し、国民の高齢期における所得の確保をより一層支援する観点から、国民年金保険料の納付可能期間を延長することや、企業型確定拠出年金において加入資格年齢の引上げや加入者の掛金拠出を可能とする等の措置を行う」
以下では、(1)〜(3)のうち主な内容について解説します。
◆改正された主な内容
(1)国民年金法の一部改正
国民年金保険料の未納分を過去に遡って追納することのできる期間が、現行の「2年」から「10年」に延長されます。本人の希望により保険料を納付することで、その後の年金受給につなげることができるようにするためです。期間の延長は3年間の時限措置です。
(2)確定拠出年金法の一部改正
加入資格年齢が、現行の「60歳」から「65歳」に引き上げられます。企業の雇用状況に応じた柔軟な制度運営を可能とするためです。
また、従業員拠出(マッチング拠出)を可能として所得控除の対象とします。そして、事業主による従業員に対する継続的投資教育の実施義務を明文化することにより、老後所得の確保に向けた従業員の自主努力を支援します。
(3)厚生年金保険法の一部改正
近年の経済情勢を踏まえ、母体企業の経営悪化等に伴い、財政状況が悪化した企業年金に関して措置が講じられます。