◆「節電対策」で導入が増加
節電対策の一環として「在宅勤務制度」を導入した企業が増えましたが、制度導入を契機に「ワーク・ライフ・バランス実現」や「危機管理対策」に繋げようとする企業も多いようです。
◆導入事例とメリット
大手損害保険会社では、本社の社員約3,000人のうち裁量労働制で働く社員約1,500人を対象に、夏季限定で導入しました。また、人事部や経営企画部などでも、1人あたり月1〜2回限定で順番に在宅勤務を行ったそうです。この他、システム系の部署ではこの夏ほとんどが在宅勤務という人もいたようです。
制度導入の大きなメリットの1つに、通勤時間分を家族との時間に充てられることが挙げられます。子供を初めて幼稚園に送った男性は「妻の苦労がわかった」と言います。
◆労務管理の難しさ
民間調査会社が夏季電力の使用削減量15%以上を目指す企業(約4,000社)を対象に実施した調査によれば、節電対策として在宅勤務制度を導入した企業は約60社だったそうです。
労働時間管理などの労務管理の難しさもあり、二の足を踏む企業が多かったのですが、導入した企業では「仕事に集中できる」「通勤ストレスから解放される」など、前向きな意見が多く聞かれました。
◆効果的な制度活用
企業の在宅勤務制度導入に関する指導を行う会社では「震災をきっかけにワーク・ライフ・バランスを進める企業がより増える」と見ているようです。震災や計画停電に直面し、どこでも仕事ができる環境の強みを企業が痛感したためです。
これまで在宅勤務制度は、主に育児等の理由で出社できない社員に対する福利厚生制度として位置付けられることが多かったようです。今後は育児だけでなく介護に直面する社員も増加するため、ワーク・ライフ・バランスを実現する手段として在宅勤務制度は有効なものとなるでしょう。