◆増加する職場でのストレス
厳しい労働環境で仕事のストレスが増え、精神疾患を抱える社員の対策が急務になっています。
昨年、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が企業にメンタルヘルスに問題がある社員を抱えているかを調べたところ、57%が「いる」と答え、業種別では「医療・福祉」(77%)と「情報通信業」(73%)が全体の平均を大きく上回りました。
◆企業の様々な取組み
通信大手の企業では、産業カウンセラーなどの資格を有する一般社員が悩みを聞く独自の「サポーター制度」を導入しました。
社員からすれば産業医や専門カウンセラーは敷居が高く、気軽に相談しづらいこともありますが、このサポーターであれば敷居も低く、いわば“第二の上司”として社員のメンタル面での面倒をみます。結果として、社員数は増えても休職者数はほぼ横ばいにとどまっているそうです。
最もストレス度が高いとされる医療・福祉業界のある大手企業でも、今年から外部委託のメンタルヘルスサービスの内容を切り替え、約9,000人の社員は無制限で電話でカウンセラーに相談できるようにしたそうです。
◆法改正の動向
厚生労働省は現在、ストレスを抱える社員に対する面接指導などを義務付けるように法制化を準備しているようです。
定期健康診断の際に「ひどく疲れた」「憂鬱だ」といった簡易なストレス症状の判断テストを全社員に実施し、かなりのストレスを抱えている状態であれば健康診断を行った医師が社員に知らせ、社員は事業者に医師の面接指導を希望します。
これは従来、長時間労働者のみがストレス診断の対象だったものを、すべての労働者に広げるもので、早ければ今秋の国会に関連法案を提出するようです。
◆職場前提の課題を取り除く必要
こういった面接指導などの取組みと合わせ、企業がメンタルヘルスの問題を未然に防ぐためには「働き過ぎ」「コミュニケーション不足」など、職場全体の課題を取り除く必要があるのではないでしょうか。