◆8割弱の健保組合は赤字
主に大企業の社員やその家族が加入する健康保険組合(健保組合)の財政難が厳しさを増しているようです。
健保組合全体の赤字額は、過去最悪だった2009年度の5,200億円に続き2010年度も4,100億円に高止まりしています。約3割の健保組合が保険料を引き上げたにもかかわらず、8割弱が赤字となっています。
◆ピーク時には1,800組合突破
企業が独自に健保組合を設立し始めたのは高度成長期であり、当時は「政府管掌健康保険」(現在は「協会けんぽ」)に加入するよりも保険料率が低く、社員に独自給付を提供できるメリットがありました。
ピーク時(1992年)には1,800組合を突破しましたが、その後、高齢化と景気低迷などにより財政が悪化し、約400組合は解散などで消滅しています。
◆引上げ傾向にある保険料率
しかし最近、企業が健保組合を持つメリットは少なくなりつつあります。平均保険料率は標準報酬月額の7%台であり、協会けんぽの保険料率(約9.5%)よりは低くなっていますが、2割強以上は9%以上となっています。
2011年度に日本航空(JAL)健保組合が保険料率を6.7%から9.6%に大幅に引き上げるなど、料率が協会けんぽを超えているところもあります。
◆抜本的改革が必要な時期に
なお、健保組合が他制度に払う支援金が保険料に占める割合は、1999年度に初めて3割を超え、現在は約4割にまで拡大しています。政府の「社会保障と税の一体改革」においても、健保組合については現行制度を前提としており、高齢者の医療費が増加して財源が足りなくなれば機械的に健保組合からの支援金を増やして賄う仕組みは変わらないようです。
負担に耐えられずに健保組合を解散する企業が増えていくことが予想される中、現役世代の負担増を抑えるためには、現行制度を抜本的に改革する必要があるのではないでしょうか。