◆厚労省が見直し案を示す
新聞報道によると、厚生労働省は、所得などに応じて医療費の患者負担分に上限を定める「高額療養費制度」の見直し案を社会保障審議会に示したそうです。
これまでの月額上限に加え、年額上限の設定も検討されているようです。
◆「高額療養費制度」とは?
医療費は患者の「3割負担」が原則ですが、医療費が月100万円を超えるようなこともあるため、一定額以上は保険給付でまかなう「高額療養費制度」があります。
医療費の自己負担が一定額を超えた場合に超過分を払い戻す仕組みです。
◆課税世帯を3分割
厚生労働省の見直し案では、800万円以下の課税世帯を3分割し、所得に対して医療費が重いとされる世帯の負担を軽減します。
月8万100円の上限を、「年収300万円以下」の世帯で4万4,000円に、「年収300万円超〜600万円未満」の世帯で6万2,000円に、「年収600万円以上」の世帯で8万円とします。
また、月額上限とは別に、年額上限を設ける案も示しています。
◆年額上限の内容は?
年額上限は、最も負担が重い上位所得者の場合が99万6,000円、一般所得者で「年収300万円超」の場合が50万1,000円、「年収300万円以下」の場合が37万8,000円、住民税非課税世帯の場合が25万9,000円となっています。
これらの見直しを実施すると、医療給付費が2015年度時点で約3,600億円増えると試算されているため、厚生労働省は、外来患者から1回100円(低所得者は1回50円)とする窓口での追加負担を新たに徴収することで、財源を生み出す考えです。
しかし、日本医師会などが強く反発しており、見直し案の実現には曲折も予想されます。また、高額療養費が増え続けた場合、保険料の引上げにもつながりかねません。
今後も増加が予想される医療費をどのように見直していくのか、政府の対応に注目が集まっています。