◆2012年にも見直しを実施
厚生労働省は、2012年にも専業主婦の年金制度を見直す方針を示しています。
具体的には、会社員の厚生年金と公務員の共済年金に関して、夫の保険料の半額を妻が負担したとみなし、夫と妻で年金を2等分して給付します。
ただ、夫婦合算の保険料負担や年金受取額は変わらないため、厚生年金の加入者全体で専業主婦の分を負担することは変わらないようです。
◆「不公平」との批判に対応
会社員や公務員を夫に持つ専業主婦は「第3号被保険者」と呼ばれ、保険料を支払わなくても基礎年金を受け取ることができます。このため、保険料を支払っている自営業者の妻などから「不公平だ」との批判を受けています。
今回の見直し案は、婚姻期間中に夫が支払った保険料は夫婦が一緒に支払ったとみなし、主婦も保険料を納付したと位置付けることで不公平感を和らげるのがねらいで、他にも主婦に別途の保険料負担を求める、夫が追加で保険料を支払うなどの案も出ています。
◆加入者全体で専業主婦の分を負担
専業主婦が基礎年金を受け取ることができるのは、夫の他に、働く女性や単身者など厚生年金加入者全体で専業主婦の分を負担しているためです。
今回の見直し案では、負担と給付の総額を変えないため、厚生年金の加入者全体で専業主婦の分を負担する実態は変わらないようです。
◆遺族年金はどうなるか
現行制度においては、妻は夫が死亡した場合に「遺族年金」を受け取ることができますが、見直し案の導入後は自分の分だけしか受け取れなくなり、給付額は夫が生きていた場合の50%になってしまうそうです。
夫は妻の分の保険料を支払っていますが、妻が先に死亡した場合、給付額は自分の分だけになり、実質的に減ってしまう可能性があります。