◆過労死の理学療法士について労災認定
一昨年10月に急性心不全で亡くなった私立病院勤務の理学療法士の男性(当時23歳)について、横浜西労働基準監督署が過労死の労災認定の決定を行いました(10月4日付)。
遺族側代理人の弁護士によれば、この男性は2010年4月から病院で働き始め、患者の治療計画作成・治療・リハビリなどの業務を担当していましたが、担当患者が増えたことに加えて、研究発表の準備等も行っていたことから、同年9月以降は非常に多忙となっていました。
男性は、早朝・深夜の時間帯に自宅等で研究発表のための準備を行っていましたが、病院側は「勤務ではなく自己研鑽」であるとして、その時間分の残業代は支払っていなかったそうです。
労基署では、研究発表の準備を労働時間として算定はしませんでしたが、これらの時間が男性の重い負担になったと判断し、労災認定を行いました。
◆過労死で労災認定を受けた従業員の企業名公表
大阪地裁は、過労死などにより従業員が労災認定を受けた企業の名称を公開しないとした大阪労働局の決定の適否が争われた行政訴訟において、労働局の決定を取り消す判決を下しました(11月10日)。
同地裁は、「企業名を公開したとしても、社員のプライバシーや企業の信用を失うおそれはなく、不開示は違法である」と判断したものです。
原告側代理人の弁護団によれば、企業名の情報開示を認めた判決は初めてであり、「企業側が社会的監視にさらされることにより、過労死をなくす努力をより強く求められることになる。健康管理態勢の改善につながる画期的な判決である」として、高く評価しているようです。
敗訴した労働局側では、「労災を発生させたことを広く知られるのを恐れた企業側が、就労実態調査に協力的でなくなる」としていましたが、その主張は退けられました。